11月のイタリアはほどよい気候に包まれている。

確か…今頃が旅行するのにベストシーズンだとか謳われていたんじゃなかっただろうか…いや、知らねえけど。

「スクアーロ!」

「……あ?」

任務完了の報告を済ませ、機嫌の良くも悪くもない上司に麦茶を浴びせかけられたまま、ぼんやりと思考を飛ばしていたというのに。

自室に戻ろうと階段に足を掛けていた俺は、廊下の端、角を曲がりながら叫ぶ声に呼び止められてしまった。



シアワセまぐろ



足音は頗る軽い。

相変わらず肉の詰まっていない肢体が、たかたかと走り寄ってくる。

午後の日差しがオレンジに色づき始める時刻。

窓から差し込む光に染められて、野郎の髪色が濃さを増していた。

階段に程近い位置で待ち構えながら、そっとカウントを取る。

駆け足は確実に一歩一歩近づいてきて……。

……そろそろか。

「ちょっといい!?スクアー…!!!」

「う゛お゛ぉい!お約束だなぁ…!」

どうして何もない所で足が縺れるのだ、お前は。

突然視界からこいつの身体が消えた瞬間、俺は手を伸ばし、指先に当たった布地をひっぱり上げた。

丁度襟首の辺りを掴むことに成功し、ぐいっと力任せに持ち上げる。

床に手が届かないくらいの位置で前屈の姿勢になった野郎は、親猫に運ばれる子猫のように吊下げられたまま…。

「…あはは。……隙あり!!」

「ぐぇえ!?」

ドスっと、俺の腹に拳をめり込ませてきた。

なんでだ。

「う゛お゛ぉいい!なんなんだぁお前ぇええ!!」

「あはははは。油断してたでしょスクアーロ!悪戯成功ー!」

「……お、まえええ…!」

何とも形容しがたい複雑な感情に任せ、ぱっと手を離す。

慣れた様子で赤絨毯の上に降り立つそいつは……腹を押さえて唸る俺の前でにこにこと…今にも鼻歌くらい軽く漏れてきそうな様子で…。

「ほんと!ほんとに悪戯なんだからね!わざとこけたんだからね。ね?ね!?」

「…あーはいはい」

しかし、奴の首筋にこっそり伝う冷や汗を、俺は見落としはしなかった。

照れ隠しにも、節度を持って欲しいものだ。



「で?なんの用なんだぁ?悪戯に成功した十代目様よぉ」

「………うん。まあ、ね。…あのさ!聞きたいんだけど!!」

ははは、と目を逸らしたまま乾いた笑いを零す棒立ちの十代目、ツナヨシは、気を取り直すようにバッと俺を振り仰ぎ、正面から視線をかち合わせてきた。

……相変わらずちっせえなぁ。

…つうか。

「う゛お゛ぉい!それよりお前…護衛はどうした護衛は!」

こいつがここ…ヴァリアーのアジトを訪れる際には、必ず護衛を二人以上伴うように九代目から義務付けられている、はずなのに。

今、俺の目の前に立っているのは…十代目その人、オンリーだ。

「まきました」

「真顔で言うな」

「だって……あの人たち無言で付いてくるから怖いんだよー!」

「今日は守護者じゃねえのか」

「皆所用があってさ。九代目のとこから派遣された人たちなんだけど……いかにもって感じで怖すぎるんだよぉ……」

再び漏れ出る乾いた笑いは、先ほどよりも一層ドライ感が増している。

「奴らも仕事だからだろぉ。ったく…見つかったら俺もどやされんじゃねえのか!?さっさと戻れ!」

まったく、と思わず嘆息を。

人の護衛、というか、人に仕える者として、俺はツナヨシよりも護衛の方に共感してしまう。

守るべき対象にまかれるとは……不憫な。

これが上に報告でもされてみろ。

俺だったら、麦茶まみれくらいではすまされない。

……そういえばまみれたままだった。

いい加減、茶臭い頭をどうにかしたいのだが…。

しかし。

「ええー!?いいじゃんスクアーロが一緒にいてくれたら!」

そんな俺の心境など酌む気配も見せず、縋りつくようにツナヨシが詰め寄ってきた。

…あのなぁ…!

「俺は任務が終わって、やっと!やっとつかの間の休息を得たんだぞぉ!?そっとしとけぇ!」

「ちょっとの間じゃん!宿に付くまで張り付いてろって言ってるわけじゃないんだから!ほらほら、早く客間にでも案内してくださいな」

「お、お前ぇええええ!!」

案内しろ、と言っておきながらずるずると俺を引いてどこかを目指すツナヨシは……まさしく、勝手知ったるなんとやら。

……俺はとことん、誰かに使われる者らしい。

かつてはヴァリアーの次期ボスとまで謳われたというのに…。

熱くなる目頭をぐっと堪え、抑えながら、俺は引き摺られるままに応接室へと連行されていくのだった。

「そういえばスクアーロ、すっごいお茶の匂い纏わり付かせてるけど、どうしたの」

「そこには触れてくれるな」

「あ…そう」

察したのだろう。

あははと笑うツナヨシが…一層憎らしく感じられた。

こんにゃろう。



辿りついた応接室。

どっか、とわざと大仰にソファへ腰を降ろすも、もう慣れたのかまったく動じないツナヨシ。

面白くない。

以前、ヴァリアーの一時凍結の際には、唯一縛りの弱かった俺だけがこいつと親交があったわけだが…慣れられてしまうほどだというのか…。

なんだか複雑な心境だ。

「で?」

「ん?」

ん、って…こいつ……。

俺の正面に座したツナヨシは、何ですかと言わんばかりに小首を傾げた。

あのなぁ…。

「お前の、本日の、目的は?」

わざと言葉を切って強調してやれば、やっと気が付いたのか「あー」などと口を開けながらポンと手を打ちやがった。

…そこはかとなくむかつく。

「俺だけ明日、暇なんだー」

「ほう。そりゃよかったな」

「だから、ちょっと買い物付き合ってくれないかなーと思ってお誘いにまいりました」

「ほう。誰を」

「スクアーロを」

「そうか俺か。そうかそうか。…………はぁ?」

「明日、スクアーロもオフなんでしょ?」

「なんで調べがついてんだ…」

「丁度よかったよねー。ありがとう、異国の地を案内してくれるなんて親切心の塊だねスクアーロ!」

「勝手に話を進めるな!行くっつってないだろぉ!」

「え!?来てくれないの!?見知らぬ地で一人彷徨って、怪しい酒場に迷い込み、弄ばれた末に野たれ死ぬしかない運命の俺を見捨てるっていうの!?」

「……お前、年をとる毎にどんどん口が達者になってきたなぁ…」

「そんなとこ感心しなくていいから。でもさ、ホント、お願いスクアーロ。スクアーロだったら護衛を兼ねて、って言えるからあの人たちに来てもらわなくて済むし、荷物持ちにもなるし」

「使用人か俺は。……いいのかぁ?顔見知りったって、俺もヴァリアーの一員だぜぇ?」

いつ裏切るとも知れないのになぁ?

肘を付きながらにやりと笑みを深めてみる。

が、ツナヨシはやはり動じない。

「そんなこと言っちゃって。……スクアーロ、俺のことまだガキだと思ってるでしょ」

「ああ?」

「そうやって目を細める時は大抵図星なんだよね。…言っておくけど、そう思ってる限りスクアーロが俺に勝てることって、ないからね!」

「はああ!?お前、俺が剣帝だってわかって言ってんのかぁ!?」

「そういう問題じゃないし。ほらわかってない。だから無理だよ無理無理無理無理」

「はぁあああ!?」

瞳を細め、半眼になりながら不機嫌そうに俺を見つめていたツナヨシは、むっと口を尖らせたかと思うと、ぷいとそっぽを向きながら頬を膨らませた。

……これをガキと思わずに何と思えというのか。

「とにかく、明日付き合ってよね!」

「ああ、はいはい」

こうやって妥協してやるのにも、ずいぶん慣れてきてしまった。



「…ところで、何買いに行くんだぁ?」

「……ん。そこにも、スクアーロを選んだ理由があるんだけど」

「なんだぁ?」

曲がったへそを隠し、さっと立ち直る切り替えの早さは…こいつの利点だと思う。

よほど落ち込むことが多い人生を歩んできたのだろう。

まあ、それが活かされてこんなどす黒い世界でも、頂で燦然と輝く光明と化しているのだから……いいこと、なのだろう。

こいつの輝きは……時折目が眩むほどに明る過ぎて、困る。

「もうすぐクリスマスじゃない?」

「ナターレな」

「うん。まあ、いいんだよどっちでも!で、冬は俺日本に帰るし」

「だろうなぁ」

「だからってこっちの人を招いて日本でパーティーってわけにもいかないし」

「つうか、呼ばれたところで行かねえだろうなぁ、大概の奴が仕事入ってるだろうしよぉ」

「……やっぱりか。うん。だから、もう今のうちにやっちゃおうかと思って」

「ナターレをかぁ!?それはいくらなんでも早すぎだろ!大体、勝手に早めてやるようなことでもないだろうがぁ!」

「だから、パーティーとかは考えてなくって、日頃の感謝を兼ねてプレゼントでも配って回ろうかと」

「……ちっせえサンタもいたもんだ…」

「サンタは元々ちっさいおっさんなんでしょ!?だったらちっさいマフィアがやってもいいじゃん!」

「お前……言ってて虚しくないかぁ?」

「……うん」

マフィアであること、そしてその存在自体に首を傾げているというのに、己をマフィアと呼ぶなんて。

…その上、自分で小さいと言ってしまっては、やるせなさもひとしおだろうに。

両掌で顔を覆い隠しながら俯くツナヨシを見遣り、ふと息を吐き出せば眼前の肩がピクリと動いた。

「で?それで、なんで俺なんだぁ?」

「スクアーロだったら、皆の好みとか知ってそうだなーと思って。特に、ヴァリアーの」

「ああ、なるほどなぁ……この機会に取り込もうってか?安易な考えだ」

「そういうつもりじゃないんだけど……もう、それでもいいよ。とにかく、よろしくお願いします!」

「ああ……わかった」

「で、でさ……」

「ん?」

「ちょっと、悩んでる、んだけど、さ」

「なんだぁ?」

「あの……その……」

「…?」

なんだぁ突然。

肩を竦めながら、組んだ指先をしきりに動かし、足を摺り合わせるツナヨシの様子は、まさに『そわそわ』といった感じだ。

うっすらと頬まで染めてやがる。

……なんなんだぁ?ちょっと気味が悪いぞぉ。

なんかの病気にでもかかったか。

薬でも盛られたのか。

いつの間に。

などと好き勝手に想像し、どうしたものかと眉間に皺を寄せていると…。

伏し目がちに、ツナヨシが口を開いていた。



「あのさ……XANXUSって、なにか、欲しいものって、あるかな?」



……なるほど。そういうことか。

つまり、なんだ。メインはそこか。

確かにあいつのことを聞きたけりゃ、俺はうってつけの存在だろう。

あいつの過去を知っているし…といっても実質的な付き合いは自慢出来るほどの長さでもないが…。

それでも、誰よりあいつを理解している、と思いたい。

そしておそらく、ツナヨシもそれを察したのだろう。

確実に、ツナヨシよりはあいつのことを知っている。

親交もあって、聞きやすい存在なのだろう、俺は。

だからって…………そうか。そうかぁ。

なるほどなぁ。

まあ、いいんじゃねえか?

そういう面で差別する気はさらさらねえし。

いや……ブラッドオブボンゴレの保持者であるツナヨシとボスがくっついたら、後継者がいなくなっちまうんじゃねえのか?

血を受け継がねえと、カリスマ的なトップを失って……マフィア界にまた混沌の時代が…。

って、ツナヨシはボンゴレを潰したいんだったか。

好都合、なのかぁ。

そうかぁ。………だったら、応援、してやるべき、なんだな。

ボスも……なにかと気にしてるみてえだったし。

………なんだ。

肺の裏側辺りが、妙にざわつく。

砂嵐みてえな空気が、がらんどうの体内を暴れまわっているような、奇妙な感覚。

気分悪い。

気持ち悪い。

手足が温度を失っていくようだ。

けれど、それを伝えるはずの神経まで麻痺していくようで……感覚がなくなっていく。

「……スクアーロ?」

「…あいつは、お前が悩んで考えて選んだものだったら、ちゃんと受け取ってくれるだろうよ」

「いや、それより……なんか、顔色悪いけど、大丈夫?スクアーロ」

「……気のせいだろ。つうか、お前そろそろ戻れ。護衛の奴らが探してんじゃねえのかぁ」

「え、ああ、うん。そりゃそうなんだけど……」

「ったく……しかたねえなぁ。ちょっとここで待ってろ。呼んできてやる」

体内を侵し始める靄が晴れることを願って、俺は立ち上がった。

何故か、早急にこの場から立ち去りたくて、たまらない。

このままツナヨシを前にしていると……なんだろう。焦燥感が疼く。



「あ、ちょ、ちょっと待って!スクアーロ」

クン、と引かれるままに顎が上がった。

咄嗟に、尾を引くような形に流れた俺の髪を掴んだのだろう。

振り返れば、一房を握り締めながら、ツナヨシがソファの背ごしに乗り出している。

「スクアーロは!?スクアーロの欲しいものって、なに!?」

先の頬の赤みを残しながら、上目使いに見上げるツナヨシの息は少し乱れていた。

そんなに慌てたのか。

馬鹿だなぁ、こいつ。

だが……ああ、いいな。

天井から降り注ぐ空調の風に、俺のとは違う質の髪がふわふわと揺れている。

真正面から見つめてくる視線は、強さと弱さを併せ持つ独特の色を纏っていて。



思わず、手が伸びた。



ポス、と手を乗せてやれば、重みに押し潰されるものの、特有の弾力を持って反発してくる。

「へ?なに?」

そのまま、わしゃわしゃと掻き回した。

他人の頭を撫でるなんざ……普段は請われたってしない性質なんだが…。

なんなんだろうなぁ、今の俺。

「……俺は、これでいい」

「え?」

「俺のことはいいから、もっと重要なところを考えてろぉ!」

「ええ?」

名残を惜しむのを気取られぬように手を離せば、毛先が肌を擽って撫でた。

そのまま、感傷を振り解くように踵を返す。

扉へと。

「明日は迎えに行ってやるから、ちゃんと起きてろよぉ!目覚ましがわりまではしてやんねえからなぁ!」

「わ、わかってるよ!11時に、来てね!」

「おう」

じゃあな、と手を上げれば、俺の触れた辺りを押さえてこちらを見つめるツナヨシと目が合った。

何、赤くなってやがるんだ。

ボスのことでも思い浮かべやがったのか。

まあ、なんでもいい。

なんでも………。

「…ったく」

パタン、とやけに軽い音を打ち鳴らして閉じた扉から手を離し、俺はさっと足を踏み出した。

「俺は、どうしたらいいんだろうなぁ…」

う゛お゛ぉい。

うやむやにしてしまいたい感情を抱えたまま、俺は。

今頃、顔を青くしながら屋敷中を駆け回っているであろう間抜けな護衛共を探してやることにした。















「……はぁぁ…」

「なんだだらしねーな。さっきまでの大胆さはどうした」

「へ!?ぐぇええ!?」

だらりとソファの背にしなだれかかり、脱力する俺に向かって、華麗なとび蹴りが炸裂した。

背を駆ける痛みに、思わず仰け反った俺は、嫌な予感をビシバシ受けて振り返った。

視線の先、先ほどまでスクアーロが座っていたソファの上へ、しゅたっと、これまた華麗に着地したのは高名な家庭教師殿。

「リ、リボーン!?なんでお前がここにいるんだよ!」

「なに言ってんだ。おめーらが来る前からずっとこの部屋にいたぞ。気付かねえなんて、お前もスクアーロもまだまだだな」

「ええ!?いや、っていうか、なんでー!?」

「忘れたのか?お前に助言してやったのはこの俺だってことを」

「う……!だ、だから、見に来たわけ?」

「暇だったからな。散歩のついでだ」

「ついでかよ……」

なんとも言いがたい理由を掲げてくださったリボーンのおかげで殊更力を失い、俺はソファにぐったりと寝そべってしまった。



「で?わかったか?」

うつ伏せになったまま足を伸ばし、枕がわりに目元で腕を交差させた俺に向かって、リボーンが話を振ってきた。

主語はないものの、言いたいことはわかる。

だけど!

「……わっかんないよ!お前の言うとおりにしたのに!結局、何がどうなったのか…」

「ったく。お前の観察眼はダメなまんまだな」

辛辣だ。

「あーはいはい。っていうかホントに、あれで何が変わったわけ?」

「何のことだ?」

「だから!お前が言ったんだろ!XANXUSの名前を出して相談してみろって!そしたらきっとスクアーロにも色々変化が起きるからって!何が変わったんだよ!よくわかんねーよ!」

そう…。俺は教わったとおりに行動したのに。

スクアーロは、ターゲットでない限り比較的女子供には紳士的だ。

そして俺は…スクアーロにとっては、ガキでしかない。

だから、もし戦うことになったとしても、それが自ら望んで打って出た戦闘でない限り、スクアーロは本気を出さないんじゃないかな、と思う。

それが無意識であれ、有意識であれ。

俺は、それが不満だ。

いつまでたっても、背伸びしたガキ、としか俺を扱ってくれないスクアーロに、もっとちゃんと俺を見て欲しくて。

なんていうか…その……あの……ちゃんと一人の人間として見て欲しくて。

釣り合うような人間になりたくて。

隣にいても、許されるような、そんな。

って…!なんかめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!!

うわー!なにこれー!俺は乙女か!

「ダメツナめ」

「ええ!?言うに事欠いてそれ!?もう!リボーンに相談したのが間違いだった…!」

「何言ってんだ。俺の助言のおかげで明日のデートが決まったんだろ」

「な、で、でででででーと、って…!」

「デートだろ」

「そ、そそそそそれは…!!」

一気に熱が上る。

うわあ、絶対、俺、今、顔真っ赤だ!

デート。そっか、デートだ。デートか。って、いやいや、ありえないって…!でも、でもでも!

「きめえ」

「ぐはぁあ!」

本日二度目のとび蹴りが炸裂した。

おかげで…ちょっっっとだけ落ち着きを取り戻した。ちょっっっと、だけど。

「なんか…いつもより力篭ってないか?リボーン…」

「赤くなって、にやにやしたりおろおろしたりキラキラしたりうるうるしたりで、気持ち悪かったから、仕方ないだろ」

「仕方なくねー!でも、さ!本当に明日、どうしよう!何着て行ったらいいと思う!?」

「知るか」

「どこ行ったらいいんだろ!」

「知るか」

「何話したらいいんだろ!会話、続けられるかな」

「しょっちゅう話してんじゃねーか」

「一日中一緒にいられるのって始めてかも…!うわぁどうしよう!楽しみだけど、怖い!」

「聞いてねえのか……乙女か」

「え?なんか言った?」

「知るか」



二つの困惑と不安と……複雑な感情を抱える二人に焦れ、嘆息しながら。

ゆったりと流れる午後のまどろみを感じて、リボーンはただただ静かに微笑んだ。




シアワセまぐろ